「親子上場」の続きです。
この記事で書いたことは、子会社に対する影響力を維持したまま
その子会社を上場させることが、わが国の株式市場では平気で
行われているということです。
それでは、子会社株をたくさん持っていると、どんな影響力を行使
することができるのでしょうか? これについては、商法がいろい
ろ定めています。
持ち株比率 |
株主の権利 |
3分の2以上 |
取締役・監査役の解任決議、
会社の重要事項(合併・営業譲渡等)の決定など |
2分の1超 |
株主総会成立要件、
取締役・監査役の選任決議など |
3分の1超 |
株主総会の特別決議に対する拒否権 |
10%以上 |
会社解散請求権など |
3%以上 |
総会召集請求権、取締役・監査役の解任請求権、
帳簿閲覧権など |
1%以上 |
総会の議案提案権など |
実質的に、会社を動かしているのは(代表)取締役です。子会社
に対する影響力を行使するためには、自分の意のままになる取
締役を選べるようにしなければなりません。
子会社の株の過半数を押さえている親会社は、自己に都合のい
い取締役を選べるということになります。
ただ、都合のいい取締役を選んだつもりが後になって反乱を起こ
す、ということもありうるケースです。そこで、子会社のコントロール
をほぼ完全にするためには、気に入らない取締役を意のままに辞
めさせることのできる67%以上の株式を押さえておくべきである
ということになります。
さて、みなさんが会社の社長(取締役)だとします。親会社は、あ
なたの会社の株式の70%を持っています。このとき、あなたはど
のように考えてこの会社を経営していくでしょうか?
もちろん、親会社の意向に逆らわないように経営をしていくはず
です。では、他の少数株主のことは…?
無視してもかまわない、ということになるでしょうね。つづく。
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